現場写真集 PHOTOS
東京湾船上視察記録
東京湾の湾奥部は、江戸幕府成立以降埋め立てが続き、多くの埋立地から成る多島海の様相を呈しており、沿岸の景観整備も進みつつあります。
海岸には高潮から東京を守る高潮堤防が整備されており、今後の海面上昇等に備え、更なる嵩上げの計画も検討されています。しかし、東京湾にそそぐ河川には河口水門が無いため、高潮は河川を遡上します。高潮被害を防ぐ方策として、河川堤防も嵩上げするか、河口水門と大規模排水機場を付けるか、東京湾の湾奥部を横断する大堤防を設置するか等、高潮対策は今後の大きな検討課題です。
出発
東京湾船上視察は品川の船着場から大型屋形船で出発しました。
(1) 国際クルーズターミナル
京浜運河から東京湾に出ると、船の科学館の前に出来たばかりの国際クルーズターミナルが見える。奥に見えるレインボーブリッジの高さを超える大型客船も接岸できるようになりました。
(2) 青海コンテナー埠頭
左にある公園と比べると青海コンテナー埠頭は高さが低いことがわかります。コンテナーは気密性が高く、高潮時に浮遊し流れ出し他の構造物を破壊する危険性があります。
(3) 中央防波堤内側埋立地
東京湾奥部の波を鎮めるために作られた中央防波堤に沿って廃棄物を処分する埋立地が作られ、完了したエリアは公園化されました。廃棄物を処分する埋立地は現在防波堤の外側に広がっており、満杯になる時期もそう遠くない状況で、対策が求められています。
(4) 東京ゲートブリッジ・中央防波堤
東京ゲートブリッジは、東京港の物流などのために作られました。羽田空港の空航路による高さ制限と、大型船の通行のためのクリアランス確保と言う厳しい形態規制に対応するため、恐竜のような特異な形状のトラス構造となっています。橋の下に沿うように中央防波堤が見えます。
(5) 若洲海浜公園
若洲海浜公園も廃棄物を処分する埋立地として作られ埋立完了後に公園化されました。
(6) 葛西海浜公園
荒川の東側には、一度地盤沈下で水没した市街地を埋立工事で町ごと再生した地区の一部である葛西海浜公園が見えます。人工の砂浜も作られ、現在では都心から最も近い海水浴場があり、東京湾の環境再生の素晴らしい事例となっています。
(7) 川橋梁
東京湾に流れ込む大河川、荒川の河口部には荒川橋梁があります。しかし、河口水門はありません。そのため、一旦高潮が襲ってくると荒川を遡ってゆくことになります。
(8) 新砂水門
臨海部を高潮から守る外郭堤防に設けられて新砂水門は、その内側にヨットも停泊する夢の島マリーナがあることから、ヨットの通行に支障の無いセクタゲート式と言う特殊な開閉方式となっています。
(9) 東雲水門
東雲水門を出たところ。手前側の堤防は、高潮に備えた背の高い外郭堤防で、水門の奥側の堤防は高潮の心配が無いため背が低いことがわかります。東京都の覚悟が表明された「止めるぞ高潮 守るぞ都民」の標語。
(10) レインボーブリッジ
レインボーブリッジのほぼ全景。手前右側に岸壁があるものの、最近の巨大クルーズ船は、レインボーブリッジをくぐることができません。
(11) 浜離宮
江戸時代の初期に周辺の埋め立てと共に将軍地となり、6代将軍家宣(1709~1712)の時に名称を「浜御殿」とし、その後160年間将軍家の別邸として、接待などに利用されました。現在は東京都が管理しています。旧来は東京湾から直接船をつけられるようになっていましたが、現在は、外郭堤防に守られており、水門を通ってアクセスします。中に入ると、将軍達が利用した船着場が残されています。
(12) 水上レストラン・ホテル
東京湾の水辺は、ずいぶん景観整備が進んで、緑豊かな景観がみられるようになってきましたが、人の姿が少なく水面に船が浮かんでいる箇所も少ないため、全体的に寂しい光景が目立ちます。その中で数少ない例ですが、天王洲運河の一帯には、水上レストランや水上コテージが浮かんでおり、水辺の賑わいが感じられます。
(13) 水上レストラン・ホテル
東京湾船上視察の終わりに、小池東京都知事が駆けつけてくれて、今後の防災まちづくりへの覚悟と、市民・企業の協力への期待を語っていただきました。知事退席後、船上レセプションを開催しました。