論文集 事前防災“持続力と回復力” Collection of papers:Sustainability and Resilience

無動力・人的操作不要で自動閉塞を可能とした陸閘の構造形式について -フラップゲート式陸閘の紹介- 無動力・人的操作不要で自動閉塞を可能とした陸閘の構造形式について -フラップゲート式陸閘の紹介-

著者: 仲保京一 / 所属: 日立造船株式会社

 

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、死者・行方不明者約2万1千人、建
物被害(全半壊、全半焼)約40万戸という未曾有の被害をもたらした。かつて経験したことの無
い大規模な津波は、多くの海岸構造物を破壊するとともに、様々な課題を浮き彫りにした。中で
も陸閘や水門閉鎖等に関係して多くの消防団員が殉職されたことは、防災・減災計画を考える上
で、解決すべき大きな課題となっている。このような悲劇を二度と起こさないためには、陸閘等
の常時閉鎖の他、災害発生後直ちに安全な場所でゲートを閉鎖できる遠隔操作が有効な方法であ
る。しかし、常時閉鎖しておき、陸閘通行のたびに開閉する陸閘運用は日常の活動に多大な負担
を強いる場合があり、すべての陸閘に遠隔操作装置を備えることは、その維持管理に多大な負担
が伴い現実的ではない。さらに、巨大災害によって遠隔操作装置が機能しなくなる懸念もある。
平成24年8月29日の内閣府報道発表資料1)には、“素早い避難は最も有効かつ重要な津波対
策であること”、“対策は全て素早い避難の確保を後押しする対策として位置づけるべきものであ
ること”が明記されており、今後求められる津波防災・減災施設の方向性が示された。今後、人
口減少社会に向かう日本では、持続可能な防災・減災社会構築のため、将来に亘る負担軽減につ
ながる防災・減災技術が必要とされている。
フラップゲート式陸閘(以下、本技術という。)は、浸水に伴う浮力を利用して開口部を自動閉
鎖する。このためゲート操作の必要はなく、上記課題である操作員の危険を回避することが可能
である。さらにその機構から、平常時は交通の邪魔にならず、遠隔操作装置も不要で維持管理の
負担も少ないという特長を有する。本稿では、従来技術の課題と本技術における課題解決方法を
解説するとともに、実用化状況ならびに最新情報を報告する。

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、死者・行方不明者約2万1千人、建
物被害(全半壊、全半焼)約40万戸という未曾有の被害をもたらした。かつて経験したことの無
い大規模な津波は、多くの海岸構造物を破壊するとともに、様々な課題を浮き彫りにした。中で
も陸閘や水門閉鎖等に関係して多くの消防団員が殉職されたことは、防災・減災計画を考える上
で、解決すべき大きな課題となっている。このような悲劇を二度と起こさないためには、陸閘等
の常時閉鎖の他、災害発生後直ちに安全な場所でゲートを閉鎖できる遠隔操作が有効な方法であ
る。しかし、常時閉鎖しておき、陸閘通行のたびに開閉する陸閘運用は日常の活動に多大な負担
を強いる場合があり、すべての陸閘に遠隔操作装置を備えることは、その維持管理に多大な負担
が伴い現実的ではない。さらに、巨大災害によって遠隔操作装置が機能しなくなる懸念もある。
平成24年8月29日の内閣府報道発表資料1)には、“素早い避難は最も有効かつ重要な津波対
策であること”、“対策は全て素早い避難の確保を後押しする対策として位置づけるべきものであ
ること”が明記されており、今後求められる津波防災・減災施設の方向性が示された。今後、人
口減少社会に向かう日本では、持続可能な防災・減災社会構築のため、将来に亘る負担軽減につ
ながる防災・減災技術が必要とされている。
フラップゲート式陸閘(以下、本技術という。)は、浸水に伴う浮力を利用して開口部を自動閉
鎖する。このためゲート操作の必要はなく、上記課題である操作員の危険を回避することが可能
である。さらにその機構から、平常時は交通の邪魔にならず、遠隔操作装置も不要で維持管理の
負担も少ないという特長を有する。本稿では、従来技術の課題と本技術における課題解決方法を
解説するとともに、実用化状況ならびに最新情報を報告する。

 

 

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