論文集 事前防災“持続力と回復力” Collection of papers:Sustainability and Resilience

首都東京を対象とした高潮・洪水氾濫シミュレーションモデルの開発-水害に強い「水都東京」を実現するために- 首都東京を対象とした高潮・洪水氾濫シミュレーションモデルの開発-水害に強い「水都東京」を実現するために-

著者: ⾼橋昌伸・岩前伸幸・⽥中昌宏(⿅島建設株式会社技術研究所) 有川太郎(中央⼤学理⼯学部都市環境学科) / 所属: 鹿島建設株式会社

 

日本は多雨地帯,また,台風の常襲地帯に位置しており,山側からは河川洪水,都市では内水氾濫,海側からは高潮など,しばしば深刻な水害に見舞われている.首都東京の地勢は,西部の山地,中央部の丘陵地・台地,東部の低地に大きく分けられる.このうち東部低地帯は,東京湾の湾奥部に隣接していることから高潮の影響を受けやすく,また隅田川・荒川・江戸川などの大河川やその支川が縦横に流れていることから,外水氾濫や内水氾濫による浸水リスクも高い.東部低地帯には明治以降に過去に進行してきた地盤沈下により地盤高が満潮位より低いゼロメートル地帯となっている地域も多く,水害への対応は急務である.
このような背景から,水都東京・未来会議では,大型の可動式防潮水門による高潮防御の可能性を考えており,特に緊急性が高い隅田川に対し,河口部に「隅田川バリア」の建設を提唱している.防潮水門は,河川と海とを遮断するものであるので,高潮と洪水が同時に発生した場合には,河川水をどのように海へ排出するかが問題となるが,これに対しては,現在整備が進められている地下調節池やその発展として構想されている地下河川の機能が期待される.
このような構想の有効性を評価・検証するためには,高潮・河川流・地表面の水の流れ・下水道網のすべてを考慮した数値シミュレーションが有効であると考えられ,筆者らは解析モデルの開発に取り組んできた.本報では,その初期成果のうち,河川流・地表面流・下水道網を考慮した内水氾濫解析モデルに地下調節池の効果を取り込んだシミュレーション事例について紹介する.

日本は多雨地帯,また,台風の常襲地帯に位置しており,山側からは河川洪水,都市では内水氾濫,海側からは高潮など,しばしば深刻な水害に見舞われている.首都東京の地勢は,西部の山地,中央部の丘陵地・台地,東部の低地に大きく分けられる.このうち東部低地帯は,東京湾の湾奥部に隣接していることから高潮の影響を受けやすく,また隅田川・荒川・江戸川などの大河川やその支川が縦横に流れていることから,外水氾濫や内水氾濫による浸水リスクも高い.東部低地帯には明治以降に過去に進行してきた地盤沈下により地盤高が満潮位より低いゼロメートル地帯となっている地域も多く,水害への対応は急務である.
このような背景から,水都東京・未来会議では,大型の可動式防潮水門による高潮防御の可能性を考えており,特に緊急性が高い隅田川に対し,河口部に「隅田川バリア」の建設を提唱している.防潮水門は,河川と海とを遮断するものであるので,高潮と洪水が同時に発生した場合には,河川水をどのように海へ排出するかが問題となるが,これに対しては,現在整備が進められている地下調節池やその発展として構想されている地下河川の機能が期待される.
このような構想の有効性を評価・検証するためには,高潮・河川流・地表面の水の流れ・下水道網のすべてを考慮した数値シミュレーションが有効であると考えられ,筆者らは解析モデルの開発に取り組んできた.本報では,その初期成果のうち,河川流・地表面流・下水道網を考慮した内水氾濫解析モデルに地下調節池の効果を取り込んだシミュレーション事例について紹介する.

 

 

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